大会趣意書
日本学校農業クラブ連盟(FFJ:Future Farmers of Japan)は、「科学性」「社会性」「指導性」の育成を目標に、全国47都道府県の農業高校生が自主的に農業に関する研究や交流、発表等の活動を進めるための全国組織として、昭和25年11月に結成されました。以来70年余にわたり、我が国の優れた農業の担い手を輩出することに大きく寄与するとともに、国内外で幅広く活躍できる人材の育成に多大なる貢献をしてまいりました。
農は国の礎であり、食は生命の源です。情報通信機器等の急速な普及と導入によるスマート農業への転換、地球温暖化による自然災害や複雑化する社会情勢など、私たちを取り巻く状況は日々変化しています。日本学校農業クラブ連盟には、新しい農業の構築に遅れることなく、次代のリーダーを育成する役割に、大きな期待と関心が寄せられています。
このたび、四国ブロック連盟でお引き受けした令和8年度開催の「第77回日本学校農業クラブ全国大会」は、徳島(主管)・高知二県の学校農業クラブ連盟が合同でその企画と運営を担当することとなり、その呼称を「令和8年度日本学校農業クラブ南四国大会」といたします。
高知県連盟は、県全体をひとつの大家族とした「高知家」というキャッチフレーズのもと、5校約1,000名のクラブ員がおもてなしの心をもってお迎えいたします。本県は、幕末に坂本龍馬をはじめ多くの志士や、三菱の創業者岩崎弥太郎、植物学者の牧野富太郎や物理学者の寺田寅彦などの多くの偉人を輩出しています。東西にひろがる自然環境は、森林率84%の豊かな植生を育み、日照時間の長さや温暖多雨な気候は農林業にも恩恵をもたらしています。魚梁瀬スギや四万十ヒノキなど充実した森林資源、中山間地域におけるユズなどの柑橘、急峻な地形に応じて飼育している土佐あかうしは全国的にも有名なブランドです。また西南暖地の気候を生かした施設園芸では、ナス・ミョウガ・シシトウ・ニラなど国内トップクラスの生産量を誇っています。特に、本県は次世代型施設園芸農業に取り組み、IoPによる営農支援サービス「SAWACHI」により、データ駆動型農業を推進しています。
そして、全国大会事務局である徳島県連盟は、7校約700名のクラブ員が、四国霊場八十八ヶ所の発心の地として、お接待の精神で「おもてなし」いたします。本県は、四国山地東部にある高峰「剣山」と四国三郎吉野川を有し、その豊富な自然環境により、多様な生態系の形成はもとより、阿波藍や京阪神の台所をまかなう農産物の生産地として発展するとともに、木頭スギなど良質な木材を育み、木工業を地場産業として繁栄してきました。古くから山間地の変化に富んだ地形を生かした「傾斜地農耕システム」は、国連食糧農業機関から世界農業遺産として認定され、世界的にも注目されています。また、AIやICTを活用した最新テクノロジーが融合したスマート農業や有機農業、農業生産工程管理(GAP)などSDGsを達成するため、「持続性の高い農業」を推進しています。
このように、徳島、高知二県がひとつとなり、南四国の豊かな自然と歴史、多様な文化を発信するとともに、全国からお集まりいただくクラブ員の皆さんが日々の農業学習の成果を表現し、未来への夢や希望を活発に話し合う交流の場となるよう、精一杯努めてまいります。さらに、今大会が新しい時代の農業や環境、地域の文化を創造するクラブ員の心と力、次代のリーダーの資質として必要な「進む力」を育む場となりますよう、全力で準備を進めてまいります。なお、これらの取組をとおして、農業関係高校を含め、より多くの方に持続可能な農業や環境問題に関心を持っていただくことにつながる大会となるよう尽力してまいります。
つきましては、本大会の趣旨を御理解いただき、関係の皆様の御指導、御支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
令和7年4月
徳島県学校農業クラブ連盟会長(徳島県立城西高等学校) 安野 江里子
高知県学校農業クラブ連盟会長(高知県立高知農業高等学校) 大北 亮介
第77回日本学校農業クラブ全国大会事務局生徒実行委員長 秋田 瑞季
第77回日本学校農業クラブ全国大会事務局長(徳島県立城西高等学校長) 谷本 晃成
